PROLOGUE

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  別れ行く時を感じることは誰にでもあるだろう。 突然でも覚悟していても、生きていれば経験するもの。 失うものが大き過ぎた時、人は目を伏せようとさえする。 その場所から逃げようと考えることもある。 しかし、失うという闇は追いかけまわし、弱い心を捕まえてしまう。 きっと誰もが知るだろう。 失うということは哀しいが、けれども大切なことだということを…。 まだ寒さが厳しいある二月。 俺は辛い思いを抱えたまま病院へ続く道を走らせていた。 大切なものを失うことは生きるために必要なものを育ててくれる。 しかし、その時は何故か気付かない。 いや、気付けないのだ。 俺も例外ではなかった。
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