PROLOGUE

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  ドクン…ドクン… 血液は生きている実感を与えてくれる。 全身を流れる血液が激しく車内で響き渡っているようだ。 …ドクン…ドクン… 身体中から血液が噴き出しそうな気分になる。 血液の流れは苛立ちで加速していく。 苛立ち焦る俺を引き止めようとする意地悪な車の流れ。 苦々しい思いでいる俺の隣を自転車がいとも簡単に追い越していった。 (畜生、あの追い越していく自転車は俺の気持ちが分かっているのか?) 見ず知らずの他人の気持ちなどわかるはずもない。 しかし、苛立ちは自転車の背中を憎み、誰かのせいにしたがる。 意味のない考えが俺を支配していた。 (神様、なぜ人は死んでいく?) 神の存在。
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