PROLOGUE

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  いつもは信じていない神に向かい都合よく訪ねた。 答えは返らない。 あるのは無駄な問いかけ。 空はまだまだ高かった。 車内から切り取られた景色を見ている。 時間の流れに追いつかないように車はゆっくり流れる。 空が赤く鮮やかに広がり次第に低くなっていった。 スピードメーターの針は十キロ辺りをうろうろしている。 遠くでクラクションの音。 (同じように急いでいる人がいるだろ?…ほら、早く行けよ) 心の中で悪態をつく。 それでも時間は流れている。 赤かった空は黒味みを帯び、ライトが点き始めた。 空には宝石のような星が散らばっているはずなのに車のライトと街の明かりが邪魔をしていた。 (そろそろ受け入れる勇気を持たなければ…) 心の中に覚悟を生み出す。
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