第二章~もうひとつの親子の物語~

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  コツン、コツン ゆっくり、ゆっくり杖を付き歩く老婆。 もう一人、高齢だというのに背筋をしゃんと伸ばし歩く老紳士。 老夫婦はゆっくり歩く。 コツン、コツン 杖の音は響く。 ほとんど老夫婦がこの家に来ることはなかった。 何年ぶりなのだろうか。 家のドアの前で一呼吸を付く老女の目はすでに涙でいっぱいだった。 それをしっかり支える老紳士。 年老いた二人にとって今から向かう先は最も残酷な場所。
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