四年間

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ある時、僕は担任に自分は一人だけの世界で暮らしたいという趣旨の話をした。坂本先生は 「人は一人では生きていけません。人という字をみてください…」 と説教たらしく在り来たりな話をし始めた。 でも今まで他人との関係が希薄な僕にはその言葉が砂漠に落ちた一粒の滴の様に心にしみた。 また他にも坂本先生には色々と熱血なエピソードがある。とある帰り道、坂本先生がある生徒と歩きながら相談を受けていた。その生徒が死にたいと漏らしたその時、おもむろに走るトラックの前へ飛び出した。 「この坂本銀七、死にましぇん!」と訳のわからない事を叫び、その行為に困ったその生徒は その熱血振りのお陰で僕は編入してから十ヵ月過ぎには一人で面談出来る様になり、一年後には一人で学校に行けるまでになった。
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