プロローグ

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『終焉』。その名を知らない者は、この世界にはいないだろう。 世界のあちこちで戦いが行われ、その戦火は広がるばかりだった二年前。 彼らは現れた。『終焉』。少年少女、合計三人で構成されたそのチームは、ありとあらゆる戦場を駆け抜け、その戦闘全てを停止させた。 全ての軍の武装解除という、神か悪魔か、前人未到の偉業を成し遂げ、一方では英雄視され、また一方では指名手配者にもなった。 だが、その素性を知るものはいない。ただ、戦場から生き延びた者の証言から、おそらく少年少女だということが分かっただけだった。 そして、その『終焉』は、ある日を境に戦場から消える。 この日から、再び戦火は拡大し続けた。『終焉』を英雄視した、民衆の大半は『終焉』の戦場復帰を望んだし、『終焉』を指名手配した戦争で領土を広げる大国は喜び勇んで戦場に出た。 『終焉』は死んだ。だからもう戦場に出てこないんだ。そうゆう説が真っ先に上がった。 だが、間近で『終焉』を見、そして武装解除させられた兵士たちは口を揃えて言う。 「そんなはずはない。あれがそう簡単に死ぬものか」と。 もちろん『終焉』は死んでいない。『終焉』は戦いから身を引いたのだ。そして、平和な暮らしを望んだのだ。 そう、それは一人の少女との出会いから始まった。 少女の名を、鳴亜・ルルシア。『終焉』が、初めて殺してしまった人間の、子供だった。
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