それは今から二年前の話

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二年前。『終焉』が戦場から消える前日の話。彼らはいつもどおり、戦場に出ていた。 「こちらブルー。百%終了」 「こちらパープル。八十%ってところね」 「こちらオレンジ。ブルー、早く来て」 「了解。パープルも、残り二十%終わらせたらすぐに来いよ」 「分かってるわよ」 魔力によるテレパシー、念話による会話が終わると、既に武器を持たない無力な兵士たちを尻目に、ブルーは走り出す。 「化け物め……」 兵士の一人の言葉を、ブルーは無視した。そして走ることが面倒になったのか、地面を蹴り、宙に浮く。 『終焉』による武装解除。それが始まってから約二年。ほぼ全ての戦争は一切の進展が無かった。 魔法が栄える現在の文明において、媒介無しに魔法を使うには途方もない努力年月か、尋常ではない才能がいる。 だから、『終焉』に武装解除され、媒介を失った兵士は、ことごとく無力なのだった。 「オレンジ、無事か?」 「私を誰だと」 オレンジは、無表情に言って、さっさと敵を倒すよう促す。 オレンジ、またの名を『絶対守護神(アブソリュートガード)』。史上ただ一人、全ての攻撃を防げるとされている人間だ。 「ま、お前は死なんわな。死ぬとしたらあっちだ」 パープル、またの名を『全ての魔術を知る者(オールラウンダー)』。全ての魔法を知り、また使える人間だ。 そして最後にブルー、またの名を『終焉者(ファイナル)』。『終焉』のリーダーで、『全ての魔術を知る者(オールラウンダー)』以上の、本物のオールラウンダーだ。
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