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「ねぇ。本当に本当にいいの?」
「いいってば!知ってるでしょう?!私が不良キャラ嫌いなの!」
授業が終わる度、私の席の前の席に腰をかけては
問いかけてくる美香。
というかもう忘れてたっつうの!
「キャラってあんた…。でも本当もったいない。
どんなにかわいい女の子が声かけても無視の木内雅也くんが告白よ!?
本気じゃん!不良でも自分を本当に思ってくれる人がいいって。絶対!」
もう何度目かもわからない説教が…めんどくさくなってきた。
「わかった。じゃ私の心内を話そう。」
今まで頬杖をついてそっぽを向いていたが
姿勢を正し、美香に向き合う。
「よし、まず、唯一彼に惹かれた所を教えよう。」
そう言うと美香は目を輝かせ
うん。うん。
と首を縦に振った。
「声だ!美香、私の好きな声優さんは?」
「井ノ原彰吾さん。」
渋い声だが甘い響き。演技力も半端ない。
いつも私が井ノ原さんの話をするので
オタクでもない美香でもいつの間にかインプットされた名前。
「正解。その井ノ原さんを10点とする。もちろん10点満点で!」
「うん!で?」
「で…木う…ら?…赤髪さんは…」
「き、う、ち、ね。」
少し顔をしかめてわざわざ区切って言ってくれた。
ありがとう。
でも多分覚えられない。
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