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「だっ、だって!あれ木内雅也くんだよ!」
興奮した様子で机に手をついて目を見開く美香。
「あ、あの人名乗ってなかったなぁ。そんな名前なのか。
それより後10分あった!トイレ行ってくるね。」
「いや、いや、いや、ちょっと!」
立ち上がり、教室の外に出ようとすると腕を掴まれた。
「ねぇ!木内雅也くんだよ!」
「だから何?てか、名前さっき聞いたって!」
「学年一、いや学校一不良で、それでいてあの顔!超モテる木内くんだよ!」
思わず顔をしかめた。
「何その顔。」
「超やだ。と思って。」
「なんで!?」
私の腕を持ったまま、自分の腕を上下に振る。
「いたたたた。だってあの顔であの格好で、モテるって…さむっ。」
美香の離した右腕と左腕で肩を抱いた。
「それに私好きな人いるじゃん。」
「二次元の人でしょ!」
「いや、クロイツ様もだけど…新撰組の沖田さんはちゃんとこの世界の人だったもん。」
教室の入り口で言い合う私達を
また始まったという感じで眺めるクラスメート達。
「だった人でしょ!何百年前の人よ!」
「約150年前?てかトイレ行く時間なくなるじゃん!漏れる!」
そこで話を終わらせ、走ってトイレへ向かった。
過ぎ去った場所から大声で
「恥をしれー!」
と叫んでいる美香。
お前もな。
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