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我先に逃げようと出口へ走る者、恐怖のあまり腰を抜かす者。室内はパニックに陥った。
『うろたえるな!』
壇上に立つレイスールが大声を上げる。生徒達は檀上に目を向けた。
『お前達は軍に入る為の学生だぞ!逃げるな!戦…え?』
レイスールは背中の違和感に気付き振り向く。
そこには血に染まったハルバートを持つ使者が立っていた。
『なん…たる…失態…』
背中を斬られたレイスールはその場に崩れ落ちる。
教師が、これから自分達を鍛えるはずの教師がすでに二人も殺された。
生徒達はもう逃げるしか選択肢は無かった。
我先に出口へ向かおうとする生徒達の姿は滑稽で何とも醜かった。人を弾き、倒れた者を見捨て、泣きじゃくる者すらいる。
他人を蹴落とし、出口に一番に辿り着いた生徒は泣きながらも口元を緩め、助かるかもしれない事に安堵する。
が、一瞬で出口に回り込んだ使者によってその生徒の希望は潰えた。
生徒達は逃げ道を失った。
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