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『何がどうなってるんだってーの!』
腰に差した鞘から刀を抜いたセツは、三人目の教師の断末魔を聞きながら低く身構えていた。
『知るか!敵から目を離すな!アイル!震えてる場合か!』
普段寡黙なヴァルも声を荒げる。
ヴァルに叱咤されたアイルは震えながらも腰に差したトンファーを持ち構える。
セツ、ヴァル、アイルは互いの背中を守るように背中合わせで武器を構えている。
セツの目線の先には、最後の教師が斬られ倒れる様だった。
ヴァル、アイルが見る光景は次々と倒されてる生徒達の姿。
『こっちは百人弱程残っているがまともに戦ってるのなんて五十人にも満たないぞ…』
ヴァルは情けないと苛立ち舌打ちする。
『落ち着けって!とにかく死なない事を考えないと』
セツは逃げ道はないかと辺りを見渡す。出口は使者に阻まれている。使者が入って来た窓は登るには高すぎる。
『だぁーッ!どうしたら良いっすか!』
どうやらセツも錯乱しているようだ。当たり前である。彼らは軍の学園に入学しようがまだ十六歳なのだ。
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