9人が本棚に入れています
本棚に追加
『き、来たよ!』
アイルが震える声で二人に使者の接近を伝える。
向かってくる使者はレイスールを殺した者のようだ。ハルバートに付着した血が滴り落ちる。
ガタガタと口を震わすアイルを庇うようにセツは飛び出し刀を薙ぎ払うが楽々とハルバートに止められてしまう。
使者は反撃と蹴りを放つ。セツは左手でガードするが威力のある蹴りに地面に倒れてしまう。
『セツ!』
アイルはセツに駆け寄る。ヴァルは腰に差していた刃渡り二十cmのナイフを二本抜き使者目掛け投げ付ける。
しかし、それも難無くかわされてしまう。
『もう…逃げる方法は一つだな』
ヴァルの口元がわずかに緩む。まるでこの状況を楽しむかのように。
『こいつらを倒すしかないみたいっすね』
セツは起き上がり刀を振り下ろす。
自分だけ震えてられない。そう思ったアイルはぐっと歯を食いしばり使者を睨む。
逃げ惑う生徒達の悲鳴があちこち飛び交う。
一人、また一人と使者に倒されていく。
『な~んか引っ掛かるんすよね』
セツは使者から目を反らさず言葉を発する。
最初のコメントを投稿しよう!