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アイルが頷いたのを確認すると二人は今だ動かない使者に目線を戻す。
『どういうつもりか知らないけど、手抜きで俺達を倒せると思わないで欲しいっす！』
グッと足に力を入れたセツは一瞬で使者の懐に入り込み、刀を振り上げる。
一歩だけ下がり使者は刀をかわすと刃渡り十cmの数本ナイフが群れた蜂のように襲い掛かって来た。
『同感だ。なめられるとは頭に来る』
ナイフを投げたヴァルは次の手を打つ為に走り出す。
飛び来るナイフをハルバートを薙ぎ払い一蹴する使者に、セツは刀を振るい攻め込む。
ヴァルはセツの肩を使い使者の頭上を飛び越えると、腰から刃渡り三十cmのナイフを抜き斬り掛かる。
挟み撃ちにされた使者は動じる事無くハルバートで全ての斬撃を防ぐ。
『（今だ！）』
ほんの一瞬、使者がヴァルに視線を向けた隙にセツはしゃがみ込み足払いをする。
『アイル！』
ヴァルは使者から距離をとり声を上げる。
アイルはトンファーのグリップにある窪みに風属性である緑の魔創チップをはめ込んでいた。
ヴァルの声を引き金にトンファーを力強く薙ぎ払った。
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