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薙ぎ払われたトンファーから小さな竜巻が現れ、使者を飲み込もうとする。
使者はぎりぎりで起き上がり横に飛ぶが右腕だけが竜巻に巻き込まれた。
巻き込まれた右腕は衣服が破れ、血が流れる肌があらわになる。
『あれって…』
セツは使者の右腕を怪訝そうな顔で見つめる。
『しかし…使者特有の異端の力も使わん。馬鹿にされてるとしか思えないな』
プライドに触ったのかヴァルの表情が苛立ちを伝える。
『(殺気が無い…。異端の力も無い…。そしてあの破れたコートの下から見える衣服…)』
セツは思考をフル回転させる。自分の感じた違和感の答えを出す為に。
更に辺りを見渡し、次々倒れて行く生徒達と対峙する使者を見る。
『あ…』
セツは思わず間抜けな声を出してしまうと口元を緩めた。
『セツ!さっさと倒すぞ!』
ヴァルはセツを促し、使者に向かって走り出した。
『ミッキー!ストップ!』
セツの指示にヴァルは眉をひそめながら振り返る。
なぜ止めた?とでも言いたそうな顔をしている。
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