Episode 1 出会い

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セツのその言葉は力強く、どこか悲しげだった。 アイルは何を思ったのかセツの脇腹に水平チョップを入れた。 『ぉぐ!何だよ!』 セツは情けない声を出し、小声でアイルを怒鳴る。 『何となくだよ~』 アイルはセツの表情に魅入っていたのだ。結果恥ずかしくなりセツを殴ったのだ。 『ったく。ん?ミッキーどうした?』 いつの間にか目を開いていたヴァルは辺りを見渡していた。その仕草を気になったセツが問う。 『入学式だと言うのにやけに教師が少なくないか?』 ヴァルの言葉にセツとアイルは周りに並ぶ教師達を見る。 『偶然出払ってるだけじゃないっすか?』 何事も楽観的に考えるセツは気にした様子もなく、今だ壇上で話すレイスールに目を向ける。 『にしても話長いって…』 セツが肩を落とした直後だった。 突然、左右に張り巡らされた窓ガラスを蹴破り室内に入り込む十体の黒い影の姿があった。 フードを深く被り顔を隠し、漆黒のコートを羽織った『何か』。手には刀、槍等各々が様々な武器を持っている。 『何か』は言葉を発する事なく、ただその場に立っていた。
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