隣の席のアイツ

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隣の席のアイツ

最初に数学なんて考えたのは誰なんだろ…。 こんな眠くなるモノ。 そんな事を考えながら、私はこくりこくりと睡魔と戦っていた。 そんな時、隣の席の大和(やまと)が私に向かって小さな消しゴムを投げてきた。 『なによ…』 「一ノ瀬眠ぃの?」 そう聞かれたのでうん。と軽く頷いた。 「授業中寝るなよなー」 そんな事を言う藤に、お前はいつも寝てるだろ。とツッコミたくなったが抑えた。 確かに寝ちゃダメだよね… そう思って、私は大和(やまと)に話を振ってみた。 「あー…、やまとー。起こしてくれ~!」 なんて事を言うと大和は一瞬目を丸くしたが、その後何か考えているみたいだった。 くっそー…格好良い…。 そんな事を考えていたら、大和に声をかけられた。 「一ノ瀬知ってるか?あの先生って、カツラなんだぜ?」 『知ってるもなにも…』 有名な話だ。と、言うか…見た目からすぐにわかる。 「なぁ、知ってたか?俺って養子なんだよ」 『嘘をつくな。嘘を』 この間、大和のお兄さんが授業参観に来てたけど、嫌みな位兄弟揃ってイケメンだった。 しかも似ているし。 そんな、自分が知ってるようなくだらない話を大和はしているが、そんな事じゃ私の目は一向に覚める気配はない。 何回かやり取りしてる内に、また睡魔が襲ってきて大和の話には曖昧な返事しかしなかった。 「一ノ瀬」 「んー…?」 「俺……遥の事好きなんだけど、知ってた?」 『へぇー……って!!い、今の!!!!////』 バッと大和の方を見ると、大和は机に伏せていて…そこから見える耳が少し赤い事に気が付いた。 あぁ…もう勘弁してよ…。 名前までさりげなく呼んでさ… *ちくしょう睡魔のヤツめ* (睡魔さんよ…帰ってきて) (じゃないと今夜はきっと眠れない…) み…短い!← *
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