『雨と雷の降る夜に』

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それは、よく雨が降る夜だった。 遠くの空では、雷が暴れ回っていて、腹に響く轟音を奏でていた。 男は部屋の中で、手を赤く濡らし、床に倒れている人間を見下ろしていた。 倒れている人間は、死んでいる。 男の手首には、《S302》と番号が明記されたタグが巻かれている。 不意に、部屋の隅から、2つの人影が出てきた。 人影は男の側に歩み寄った。 男はニヤリと笑った。 人影も笑った。 3人は、雷雨の降りしきる外へ走り出したーーーーーー。
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