一章

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 春のメインイベントとも言える入学式が終わり、気づけば数日がたっていて学校全体的が落ち着き始めている。 俺、小森樹壱(コモリキイチ)は、この学校に来てから1年と数日が過ぎ、現在進行形で高等学校2学年生。 普通ならば初々しい雰囲気満開で恋人と青春等しているところなのかもしれないけれどここは生憎、町に行くには一日二回しか来ないバスに揺られ、最低二時間は掛かる程の山奥に、広大な土地にをもって建てられたむさ苦しい全寮制男子校であり、見ることはないであろう。 そんな学校に通う俺は特にこれっと言ったずば抜けた才能や特徴のない人間である。 今なら珍しくもない茶色の髪に目。あまり外出しないからか焼けてない不健康な白い肌に、成長してくれない故に平均より低めの身長。 軽く整ったどちらかと言えばかっこいいのかもしれないが美形とは言えない、探せば居そうな普通な造りの顔立ち。 そんな普通であるはずの俺だか、最近やたら熱い好意のようなものが感じられる視線が増えている気がする。 勿論女の子だったのならば、嬉しいのだろうが、ここは男子校と言う時点で、自分に好意を寄せている相手が嫌でも男だと気づかされる。 生憎自分にそう言った趣向はなく、嬉しい等と思いとは程遠く面倒くさい思いだけが頭の中を廻る。
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