一章

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俺の葛藤を知らないでなのか否、知らないからだろう。 爽やかな春風と共に睡魔を誘う様な暖かい日差しの中、俺の隣で先ほどから騒いでる俺の友人。 斎藤愛(サイトウチカ)は誰から見ても美少年と言える容姿を持っている。赤みがかった軽く外跳ねしている髪に見るもの全部が輝いて見えているかのような綺麗な茶色い瞳。調度いい背丈と無駄ない体つきと長い手足。黙って居ればモテるのだろう。腐男子と言う問題要素がなければの話だが。 それだけなら隠す事で解決なのだけれども、自重できない上に隠す事もしなかった事に奴に、今や恋愛感情を持つものは少ない。その代わりと言っては何だけれど、最初は嫌がる奴等も皆から公認の変なマスコットとなっていた。 説明してなかったけれど「腐男子」とは同性同士の恋愛を見る事が好きな男の事を一部ではそう呼んでいるらしい。 勿論世間から見て良く思われる事は少ないだろう。 そんな最大の壁を壊せるのは愛の魅力だと思う。 趣味となると暴走しがちだが誰にでも明るく優しくて感情豊か、自分の事にはまるっきり疎いのが考え所だがそれも良いところの一つになるのかな。 変わった特技があるとすれば、自身に向けられる恋愛感情には疎いのだが、他人の恋愛感情には誰よりも一早く気がつくことだと思う。
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