ある日、晴れのち雨

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空には暗い雲が出始めていた。 さっきまでは快晴だったりしてたのに、随分と自分勝手だといつも思う。 そんな天気を見習って、私も自分勝手に学校を抜け出してみた。 学校にいるのにはもう飽きたしちょうどいい。 皆が未だに学校にいる時に、1人だけ抜け出すというのは、気分がとてもいい。 いつもは誰かが見張っていたりするのだけど今はいない。 自由を感じる。 そのことが余計に私の気持ちを昂らせてくれた。 学校をでて、取り敢えずは人が多そうなところに向かう。 散歩をして帰るだけじゃあもったしないしね。 でも、失敗した。 人 人 人 たくさんの人がいる。楽しく友達と笑っている、電話で話し込んでいる、自動車に乗っている。 私は人混みのあまり中にいると気分が悪くなってくる。 ……昔はそうでも無かったのに。 頭痛を感じ始めた私は近くにあった公園に移動する。離れていれば特に異常はない、次第に治ってくる。 休もうと座れる場所を探していたのだが、ベンチの前で激しく踊っている人をみて余計に頭が痛くなってきた。 仕方なく木陰に行く。 撫でるように通りすぎていく風、カサカサと小さく揺れる木の葉に遠くに聞こえる喧騒…… まるで音楽の様にも聞こえてくるそれがとても落ち着けて、頭痛はすぐにひいてくれる。 暫くはこのままでもいいかしら…… そう決めて体を木に預けた。
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