60人が本棚に入れています
本棚に追加
気がついたのは頬に何か当たった感触。
体を起こし、そこに触れると濡れている。
空を見ると厚く黒くなっていた。
せっかくの時間が……
雨がポツポツと降ってきていて、この自由な時間の終わりを告げる。
それに時刻もそろそろで帰らないといけない。
取り敢えずはコンビニに行って傘を買う。
その頃にはどしゃ降りとまではいかないけど強い雨になっていた。
帰り道
道には、濡れないように店に入ったりしているのか人は少ない。
そのお陰で歩道の真ん中を歩けるのだけども、足下も制服もずぶ濡れ。
何でいつまでたっても傘を使うのだろう?
今の技術でもっと濡れない雨具を作ればいいのに。
いや、いっそのこと家でそんな商品を開発するばいいのかしら……
雨よりも傘に愚痴をつきながら家路を進む。
家に近づくにつれて人気はなくなっていく。
それはこの辺りの住宅を見れば直ぐにわかること。
どこもかしこも、世間一般で言う家とは大きさが違う。それを更に上回り、手入れの行き届いた広大な庭園。
そして、その家から大分離れた場所にそれ全てを囲う塀に、純白の門。
そう、ここに住む者皆資産家や有名人ばかりの高級住宅街。
私もここに住んでいる、いわゆる令嬢
資産家の娘
そして、
「……籠の中の鳥……ね」
最初のコメントを投稿しよう!