ある日、晴れのち雨

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気がついたのは頬に何か当たった感触。 体を起こし、そこに触れると濡れている。 空を見ると厚く黒くなっていた。 せっかくの時間が…… 雨がポツポツと降ってきていて、この自由な時間の終わりを告げる。 それに時刻もそろそろで帰らないといけない。 取り敢えずはコンビニに行って傘を買う。 その頃にはどしゃ降りとまではいかないけど強い雨になっていた。 帰り道 道には、濡れないように店に入ったりしているのか人は少ない。 そのお陰で歩道の真ん中を歩けるのだけども、足下も制服もずぶ濡れ。 何でいつまでたっても傘を使うのだろう? 今の技術でもっと濡れない雨具を作ればいいのに。 いや、いっそのこと家でそんな商品を開発するばいいのかしら…… 雨よりも傘に愚痴をつきながら家路を進む。 家に近づくにつれて人気はなくなっていく。 それはこの辺りの住宅を見れば直ぐにわかること。 どこもかしこも、世間一般で言う家とは大きさが違う。それを更に上回り、手入れの行き届いた広大な庭園。 そして、その家から大分離れた場所にそれ全てを囲う塀に、純白の門。 そう、ここに住む者皆資産家や有名人ばかりの高級住宅街。 私もここに住んでいる、いわゆる令嬢 資産家の娘 そして、 「……籠の中の鳥……ね」
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