執事とメイドと生徒会

10/13
前へ
/19ページ
次へ
目を見開きみちるを見るいつき。みちるは頬笑み話を続ける。 「言うと怒られちゃうから言わなかったんだけど…、お兄ちゃんからいつきちゃんの所に行きたいって言ったの。本当よ?」 「え、え…」 「それに私がいつきちゃんとこうして喋られるのはね、私が太一様にお仕えしているから。私がいつきちゃんにお仕えしていたら、私はこうしていつきちゃんと喋ることは出来ない」 「…え?」 「でもお仕えするって言う事は、ずっと一緒に居る事が出来る」 「……!」 「いつきちゃん、お兄ちゃんは変わってないよ」 「…ありがと、みちる」 勢いよく立ちあがり、駈け出した。取り残されたみちるは沈んでいく夕陽をぼんやりと見据え、笑みを浮かべた。入れ替わりに戸が開く音にみちるが振り向くと、太一が姿を現す。 「太一様…」 「…寒い中すまない」 「いえ、ご主人様のご命を果たすのが私の使命です」 「……」 「これから更に冷え込んできますから、戻りましょう」 「いや、いい」 「しかし…」 「…良い、暫く夕日を見たいんだ……お前と」 「はい…かしこまりました」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加