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いたたまれなくて、話しかけようかどうしようか迷っていると、また青年が口を開いた。
「おれ、今からキノコ採りに行くんだー」
「そうなんですか」
私がほっとした気分で相槌を打つと、今度は一人でどんどん喋り出した。今の時期のキノコはどうだとか、このあいだはどういうのを見つけたとか、穴場はどこだとか……。
私は相槌を打つだけでよかったので、ずっと気分が楽になった。
青年も思うさま喋れて楽しんでいるように見える。
歩きながらだから、目を合わせなくていいのも助かる。目を合わすと、相手がどんなに良い人でも怯んでしまう。
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