よそびと

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話が、キノコからもはや山の動物にまで変わってしまったころ、ふいに青年がまともにこちらを見た。 「そだ。君もキノコ採りやらんか?」 「は?なんでですか」 道に迷ってる、と最初に言ったのに、聞いてなかったのか? 「や、別に。そんな急いでるみたいでもなし、誘っても大丈夫かな、と。早く帰りたいなら送るけども」 「……」 早く帰る用事などない。 キノコはともかく、山の中に入ってみたい気もする。 「どうやろ?」 「……じゃあ、行きたい、です 「ん。行こか」
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