よそびと

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もしかしたら、つながっている同じ川なのかもしれない、と思った。 方角は(おそらく)同じだし、赤い電車が走っていたことも記憶にある。 「あのー、ここって芥見と近かったりとか、しないですか?」 私が、かつて住んでいた土地の名を出すと、 「全然」 何を言ってるんだ?と言いたげな、呆気にとられたような答えが返ってきた。私は、間違えた恥ずかしさに怯んで、つい、会話を打ち切ってしまった。 「こっちやよ」 青年が、ひょい、と川を飛び越えた。 私は、青年がさっきの発言を忘れたふうなのに安堵した。 続いて跳ばねば。 でも、運動オンチの私には大変な難事だ。 踏み切る足はどっちだったか。助走は必要か。向こう岸は傾斜だけど大丈夫か。崩れやしないか。 考えるうちに、ただの小川が大変な谷川になってくる。 私がもじもじしていると、青年が手を差しのべた。 「大丈夫やで、つかまり」
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