よそびと

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木々に閉ざされた、けもの道を歩いた。 時どき木漏れ日が熱く照らし、時どき冷たい空気の塊が触れる。 木漏れ日によって視覚的にもまだらだが、空気もまだらなのだ。こっちはマイナスイオンとか、そういう影響だと思う。 私はある種の感激の念をもって、きょろきょろと辺りを見回した。一瞬でもパレードを見逃したくない観客の気持ちに近い。よく手入れされた山は、チラチラ光る陽光が美しかった。 青年が案内してくれたのは、上空を木に閉ざされた広場だった。 薄暗く、腐葉土で地面がふかふかだ。さぞよくキノコも成長するだろう。 青年は我が庭にあるがごとく、すたすたと中央に進むと、あの辺りには何、こっちには何、と丁寧に説明してくれた。 だが正直、キノコの種類はさっぱり分からない。覚える気もない。
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