4人が本棚に入れています
本棚に追加
また沈黙。
ざわざわ、と木が鳴った。
時間軸に取り残されてしまったみたいな、妙で、不安で、それでいて甘美な気持ちだった。
「ここにずっと居たら、きっと楽だよ」
青年がそう呟いた。
さっきまでの素朴な感じではなくて、湿っぽくて温かい、腐葉土みたいな囁きだ。
そうだ。楽にちがいない。
「そんなことして、いいわけない」
私は幼い子供のようにしか、沸き上がる不安な気持ちを表現できなかった。
何故、不安なのかも、よく分からなかった。
最初のコメントを投稿しよう!