招くゆめ

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正直な話、私は幽霊やらお化けやらは苦手だ。 暗がりに何かいるんじゃないかと、拉致もない心配をするクチである。 だから、非常に怖かった。 でもしかし。 幽霊は電気を点けるのか? 「まさか泥棒?」 急に現実味を帯びてきた階下の物音に、私は立ち上がった。 廊下に立てかけてあった使い古しの竹刀をこっそり手に取り、音を立てないように、注意深く歩く。 剣道をしていたのは小学生の頃だが、まあ武器にはなるだろう。 階段は暗く狭く、しかも急で、天井は頭を打ちそうなほど低かった。 滑り止め代わりの、ちくちくするカーペットの緑が陰気さをかもし出している。 「あれ?」 これは、祖母ちゃん家の階段だ。 自宅は明るい吹き抜けの、西洋風。 「ああ、泊まりに来たんだっけ」 祖母ちゃん家の階段は狭いので、片手に竹刀を持った状態で下りるのは難しい。 私は、後ろ向きに、四つん這いで下りた。 一段下りるごとに、そっと竹刀を下の段へ下ろす。 階下の明かりは、まだ煌々としている。 最後の一段を下りて、ほっとした時、手から竹刀が滑り落ちた。 かしゃーん! 乾いた派手な音が響き渡った。
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