4人が本棚に入れています
本棚に追加
正直な話、私は幽霊やらお化けやらは苦手だ。
暗がりに何かいるんじゃないかと、拉致もない心配をするクチである。
だから、非常に怖かった。
でもしかし。
幽霊は電気を点けるのか?
「まさか泥棒?」
急に現実味を帯びてきた階下の物音に、私は立ち上がった。
廊下に立てかけてあった使い古しの竹刀をこっそり手に取り、音を立てないように、注意深く歩く。
剣道をしていたのは小学生の頃だが、まあ武器にはなるだろう。
階段は暗く狭く、しかも急で、天井は頭を打ちそうなほど低かった。
滑り止め代わりの、ちくちくするカーペットの緑が陰気さをかもし出している。
「あれ?」
これは、祖母ちゃん家の階段だ。
自宅は明るい吹き抜けの、西洋風。
「ああ、泊まりに来たんだっけ」
祖母ちゃん家の階段は狭いので、片手に竹刀を持った状態で下りるのは難しい。
私は、後ろ向きに、四つん這いで下りた。
一段下りるごとに、そっと竹刀を下の段へ下ろす。
階下の明かりは、まだ煌々としている。
最後の一段を下りて、ほっとした時、手から竹刀が滑り落ちた。
かしゃーん!
乾いた派手な音が響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!