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笑いさざめいていた客達がいなくなる。
私はまだ探している。
すっかり人気がなくなっても、まだアトラクションのネオンは煌々と輝いていて、次第に恐ろしさを醸し出してきた。
だから、出来るだけ道の真ん中を歩くようにして進んだ。
そして気づいた。
光の届かない陰から、何かが私を見つめている。
小さな二つの眼だ。
店の暗がりにも、あっちの街路樹の後ろにも、たくさんいる。
ここに居てはいけない。
早く出なければ。
私は一生懸命走った。
背中にぺったりと小さな視線が無数に貼りついている。
だから、胸が苦しく、脇腹が痛くなってきても、走るのをやめられない。
出口はどこ?
出口の場所はわかっているのに、全然たどり着かない。
薄情だけれど、私は誰かのことを忘れてひたすら我が身を守ることだけを考えていた。
どうしよう、どうしよう、どうしよう、と。
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