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「立ち話も何やし、俺ん家来ん?」
会話にストップをかけるように、友晴は二人を誘った。
いいんすか、などと健一は素直に喜んでいるが、私は少し怖いような気持ちだった。
さっきは名前で、今度は家。
どんどんオツが現実感を得ていく。
明らかに逃げ水だとわかっている水たまりに近づいているのに、ちっとも消えていかないような、すっきりしない感じだ。
「家、あるんだ」
ぼそりとつぶやいた言葉に、友晴は笑った。
「当たり前やん。今の時間なら、母さんもおるんじゃないかな」
「……」
なるほど。
「さ、行こか」
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