よそびと

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母親が出ていった後、私の活動が開始される。 ある程度流行を意識して服を選び、身だしなみに毛が生えた程度の化粧をして家を出る。 自分の意思じゃない。若者らしくしないと母がうるさいからだ。 駅までは自転車。 暖かい風の中、蛍光色ほど鮮やかな黄緑の田舎道を走る。 通りかかった河にはたっぷりと水が満ち、濃い青色に見えた。いい天気の証拠だ。 固くなっていた気持ちが揉みほぐされ、鼻で深呼吸する。 「いいねえ」 陽光が反射してまぶしいほどの河に向かってつぶやいてみる。 そういえば、幼いころは一人でいるとやたら物に話しかけたものだった。 ぬいぐるみのみならず、道端の雑草から干からびたミミズの死体まで。 さすがに今はやらないが、その頃の気持ちは変わっていない。
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