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椛の抗議はプロ野球顔負けの神矢の投球によって遮られた
「座標指定問題無し。電磁場発生」
無機質な声で指令を下すと同時に天狗の里の前に肉眼では見えない力が発生した
「熱反応確認。作動に問題無し」
熱で形を確認するサーモグラフィティに切り替え、確かに電磁場があるのを確認し、次の行動に移った
「電磁場をS極に変換。自身の体内電磁をN極に変換。電磁場、自身、共に異常無し。」
すべての確認が終了すると神矢は軽く一歩踏み出した。たったそれだけの移動で瞬時に天狗の里の前に神矢は移動した。
「移動完了。電磁場を停止する」
先程まで足元にあった熱反応は消え、代わりに甲高い悲鳴を挙げた熱反応を上空に感知した
「ぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
上空の熱反応は先程神矢が投げた椛だった
「はぁ」
「グェ!!」
溜め息を吐きながら地面すれすれのとこで椛の襟首を掴んだ。その時に聞こえた蛙を引き潰したような声を神矢は聞かなかったことにした
「も、もう少しまともな止め方はなかったんですか!?」
「空を飛べるんじゃなかったのか?」
「・・・・・・・・・あ」
神矢が飛べないことを馬鹿にしていたのを思い出したのか、椛は顔を赤くしていた
「そ、それは」
「ここが天狗の里か。確かに那由多の痕跡があるな」
「・・・・・・そんなこと分かるんですか?」
弁解を遮られた椛は不服そうにしながらもそう言った
「生物が動くときは必ず電気が走る。それは個体各々であり、別のものに触れると指紋のように帯電する。俺にはそれがはっきりと見えるんだよ」
「でも、見えていたとしても毎日のように誰かが歩いていたら分からなくなるんじゃないんですか?」
「那由多から発生される電気は記録してある。彼奴のは独特で分かりやすいしな」
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