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白馬が引く馬車には王族の紋章が描かれていた。
「アデロイドが遊びに来ているのかな?」
ロウファは嬉しそうに言う。
十七歳上のアデロイドはロウファにとって兄的存在。
王族だが、ロウファはそんな事は気にしていなかった。
アデロイドが二年前に戴冠式を済ませ晴れてフィーリア国王になると森にあまり来なくなったが今日は珍しく遊びに来たらしい。
彼には今、一歳になる双子の息子がいるからもしかしたら一緒に来てるかもしれない。
「アデロイドの息子って見たことないなぁ・・・可愛いのかな?」
ロウファは胸を弾ませながら小走りに小屋に向かって走り出した。
小屋の前に着き、意気揚々と階段を上りドアノブに手を掛けた瞬間、ロウファが開ける前に勢いよく扉が開かれた。
驚いて肩をビクッとさせ目を見開いているロウファの前に剣が突き付けられた。
あまりのショックで言葉がでない。
自分に剣を突き付けるのは、父であるファロンだった。
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