すれちがい

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一瞬ポカンとしちゃった。けど、すぐに調子は戻った。 「うっさいなー。気にしなくていーの!」 ―――気にしてないのかな、昨日のこと。 「や、でも!それはいくらなんでもシワだ らけだろ~!」 ―――それでも、わたしのことが好きなんでしょ。 「あっそ~。じゃっ、お先にー♪」 力斗はついてくる。 「待てよ、置いてくな!!」 ほら、走って当然のように隣にきた。 これで仲直りだ。元通りだ。力斗も気にしてない、きっと。…じゃなきゃ困る。 でも、今のわたしたちは他人から見たらなにに見えるんだろう。 “カップル”? “幼なじみ”って見られてないかな。 …折角、力斗が普通に話してくれてるのに全然言葉が届かない。考えてるせいで、きっと聞こえないんだ。でも、力斗が笑うからわたしも笑う。面白くなくても、今を繋ぐには必要なもの。 力斗は、気づいてないでしょ? いつもよりも、にこにこ笑う力斗。 よかった。笑ってくれなかったら、沈黙になっちゃうよ。そしたら、あの話題に触れられそうで怖いから。 わたしって最低。 自分を守ることしか考えてない。
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