さよなら

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恥ずかしくて、恥ずかしくて。 今さっき重なった自分の唇を、乱暴にぐしっと拭った。 「わっ!お前!」 驚いた声を出した、力斗。見れば、わたしよりも赤いんじゃない? 「……力斗、顔赤…」 「うっさい!行くぞっ」 手を引いて歩き始めた。さっきの歩幅よりも、小さい。…わたしに合わせてくれてんだ。 そう気付くだけで嬉しかった。 繋いだ手。 大きな手。 あったかい手。 すごく、ドキドキしている自分がいた。
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