すれちがい

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「ごめん!貸して!!」 片手で懇願するわたしに、凉は箸をくわえながらモゴモゴと言った。 「すぐにでるかな~」 手探りに、机のなかを探してくれてる凉を待っていると、目の前に宿題のノートが現れた。 誰のかはすぐにわかった。見慣れた字。 ――高山 力斗 すぐに顔を見ると、なにも言わずにパンをかじり、頷いた。 受け取ろうとした、 そのときに思い出してしまったあの言葉。 ―――俺と、付き合えば? 急に、受けとる気になれなくなり、手をひっこめた。 「いい。いらない。凉が貸してくれる」 声は、自分でもびっくりするほど無愛想な色がでていた。 「…そう?」 そう言って引っ込められたノート。 ばかだな、わたし。 折角力斗が普通に接してくれたのに…なんでわたしが普通になれないんだろう…。変に意識するから、気まずくなるんだ。
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