100人が本棚に入れています
本棚に追加
「その、さ、だから…俺と付き合えば?」
「は??」
「だから、俺と」
「キモチワルイなっ、冗談は顔だけにしろ !」
「夏希っ!」
呼ばれたけど無視して、わたしはその場から逃げた。
付き合えば?
そう言った、力斗の顔が頭のなかに写し出される。
これが、ただの冗談だったなら、普通に笑って、それでおわるのに。あれは、冗談なんかじゃなかった。ずっと一緒にいたからこそ分かる。長い間一緒にいたから、分かる。あれは、あれは。
あれは、…本気の顔だ。
「冗談よしてよ…」
無意識にこぼれた言葉。視界がうるんできたから、自転車を精一杯こいだ。
今日は、家に帰ってすぐに寝よう。何も考えずに寝よう。
制服から着替えもせずに、そのまま布団にもぐりこんだ。
最初のコメントを投稿しよう!