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消しゴムが落ちた。
隣の席の東宮さんはすぐに気付いて、それを拾い上げる。
「はい、落としたよ」
「ありがとう」
指が触れたら、
彼女の手が、砂のように崩れたんだ。
さらさら。
「…石垣くん?」
消しゴムを握ったまま硬直したオレを、彼女は不思議そうに見つめる。
「…あ、ごめん」
突然の白昼夢。
もちろん、東宮さんが砂になるはずもない。
そこに、彼女はいる。
「ぼーっとしてた」というオレの言い訳に、彼女は「大丈夫?」と苦笑した。
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