現国の授業中に

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
消しゴムが落ちた。 隣の席の東宮さんはすぐに気付いて、それを拾い上げる。 「はい、落としたよ」 「ありがとう」 指が触れたら、 彼女の手が、砂のように崩れたんだ。 さらさら。 「…石垣くん?」 消しゴムを握ったまま硬直したオレを、彼女は不思議そうに見つめる。 「…あ、ごめん」 突然の白昼夢。 もちろん、東宮さんが砂になるはずもない。 そこに、彼女はいる。 「ぼーっとしてた」というオレの言い訳に、彼女は「大丈夫?」と苦笑した。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!