ご褒美

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「用意できた?アレンくん。」 「あ…まだ少し…リナリーは先に行っててください。」 広い廊下に、コツコツとアレンが歩く音だけが響く。 あと4つ…3つ…2つ… 「……」 アレンの足音が止む。 それは、愛しい君が眠っている部屋。 『キィ…』 ゆっくりと扉を開ける。 君は昨日泣き疲れたのか、ぐっすりと眠っている。 眠っている君の小さな手は、しっかりと僕からのご褒美を握りしめていた。 そんな君に、僕は思わず笑ってしまって。 「行ってきます…灰音。」 そういってアレンは、優しく灰音の頬に口づけた。 その頬はほんのりと涙の匂いがした気がしたけど、あえて気付かないフリをする。 「行ってきます…」 そういってアレンは何年分もの重みがある扉を開けた。 きっと、会えますよね。 また、このホームで――――――――――――――――――――― .
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