ご褒美

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□ご褒美 6ページ/6ページ 『行ってきます』 そう言って貴方は行ってしまった。 頬に小さな温もりを残して。 「灰音…起きてるかい?」 「…誰…」 突然人の声がする。 そんな状況にも、驚く気力なんか残ってなくて。 「僕だよ。コムイ。」 「コムイ…さん…?」 なんでコムイさんがここに…いつもなら誰か別の人をよこして指令室に呼ぶのに… 「…ねぇ。私、凄く嫌な子でしょう。」 そんな疑問などお構いなしに、ただ心に思った言葉だけを発してゆく。 「私、起きてたのに行ってらっしゃいも言わなかったんだよ。…凄く、冷たい子でしょう。」 「灰音…」 …そんなの、できなかった。 弱い私には、笑顔で貴方を見送ることなんて 「できなかった…言ってあげられなかった…っ!!」 何かの糸がプツンと切れたみたいに、私は泣いた。 子供みたいに声をあげて。 「…灰音、彼は、任務に行ったんだ。」 コムイさんはゆっくり私に近づくと、私のすぐ傍に腰掛けた。 「…僕らと、君の未来を守る為に。」 そう言って私の頭を撫でてくれたコムイさんの手は、とても優しかった。 「コムイさんの手…あったかいです。 …アレンの次に。」 そういうとコムイさんはプッと笑った。 それにつられて、私も思わず笑ってしまう。 .
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