愛しい人

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「ん――――っ…つかれたー…」 只今午後11時52分。とっくに静まり返った談話室の中、 灰音は一人、資料と睨めっこしていた顔の筋肉をほぐして大きく背伸びをした。 「…もうこんな時間。」 時計を見て、ボソっと呟く。 …あの人も、もう寝たかな… 目が虚ろになってきたその時、突然ふわっとした温かさが灰音を包んだ。 「何やってるんですか?灰音。」 「わっ…アレンっ!」 灰音の肩に毛布をかけると、アレンは灰音の隣に腰をかけた。 「あ、これこの間の任務の報告書ですよね。それにしても……」 アレンの手がぺらぺらと報告書をめくる。 そんな何気ないしぐさにも、思わず見とれてしまって。 「灰音の書く報告書って、すごく細かいですよね。こんなに丁寧にしなくても いいんですよ?」 「あ…でも、コムイさんや化学班の人たちも忙しいから… せめて報告書が見やすい方がいいかなって…」 本当はあの室長が仕事をちゃんとやってくれたら それが一番の解決策なんだろうけど… 残念ながら、化学班のみんなにできないことを 私ができるはずもなくて。 せめともと、いつも報告書は少し見たら内容が把握できるようにしているのだ。 そういう灰音に、アレンは「そうなんですか…」と、まじまじと報告書を見る。 「大変ですね…でも、そんな灰音だから、きっと好きになったんでしょうね。」 「えっ…?」
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