ご褒美

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「駄目だよ…っ、そんな弱気になっちゃ!」 無理に笑顔を作る。 大丈夫。きっと、うまく笑えてるはず。 「灰音…」 「アレンならきっと大丈夫だよ!私も遠くから応援してるから!」 頬に冷たいものを感じるけど、きっとそれは気のせいだよね。 きっと、今の私はちゃんと笑えてるよね。 「灰音…僕の前で、約束してください。」 そんな私に、アレンはまた悲しそうに笑った。 「僕がいない間も、僕を待っていてください。お願いだから、僕を忘れないで…貴方を失いたくない…」 そう言って、アレンは涙を見せた。 いつもは、「好きな人の前でかっこ悪いところは見せない」と言って泣かなかったアレンが、初めて私の前で泣いた。 「うん…約束するよ…ずっと…」 ずっとずっと、貴方だけを待ち続ける。 そうすれば、また会える。きっと会える。 「じゃあ、これはご褒美……帰ったら、今度は灰音が僕にご褒美をください…」 そう言ってアレンは私の首に何かをかける。 首にひんやりとした金属が触れる。 「うん…その時は、とびっきりのご褒美をあげる―――――――――」 私たちは、笑った。幸せそうに涙を流しながら。 「死なないでね、アレン。」 「はい…灰音も僕がいなくても、どうか無事で…」 もしもエクソシストに生まれてなかったら。 普通の人間に生まれてきていたら。 どれだけ幸せなことだっただろう。 毎日一緒にいるなんて、きっと難しいことじゃなかったのにね? 死なないでなんて 普通の女の子と男の子なら、言わなくてもよかったんだろうね?? どんなに神様を恨んでも、貴方は神の使徒で、私も、神に呪われた使徒。 だから、信じよう。貴方のことを。 また、帰ってきてくれることを願って――――――――――――――― .
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