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「ちょっ……信也……もう……ギ……ブ……」
「あ……」
うっかりくたばったイケメンを、机に寝かせ、俺は北野に言い返す。
「つかよ!さっきから汚い汚い言ってっけど、お前の口の方が百倍汚いっつの!」
虚を付かれたかのように、北野は顔を赤くする。
「……失礼ね!私だって毎日、歯みがいてるわよ!」
「いや、そうじゃねーよ!口から出る言葉の一つひとつが汚物レベルだっつってんだよ!」
北野が「なんですってー!?」
と……言い出す直前、雪野さんが悪気なんて、全くなさそうに
「あ、真美ちゃん、歯にパンのカス挟まってるよ」
笑顔で、自分の口を指さして言った。
「え!?嘘!?」
手鏡でチェックし、途端、顔をりんごのように紅潮させる。
「あれ?もしかして本当は歯ぁ磨いてねーんじゃねーの?……真美ちゃん?」
「う、うるさい!今朝は寝坊しちゃって時間が無かったのよーー!」
北野は真っ赤に染まりながら、あわてて教室を飛び出して行った。
「おーい、もう授業始まるぞー!」
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