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「廊下は走るんじゃないぞ?」
「え……あ、はい……」
……あれ?いつもなら怒鳴るんだけどな……なんだ、あのニヒルな笑い
いや……あれ?満面の笑み?
……それはそれは、気持ち悪いものだった。
いつも仏頂面の荒井の表情が、みるみるスマイルになっていく。
……なんだぁ荒井さーん
あんたも美人には甘いんすかぁ?
なんか……見損なったっつか
なんか……なぁ
いつも厳しくて、正論っぽいことばっかり言ってる人がそうだと……なんかなぁ。
ぼーっと荒井の顔を見てたら
まずい!目があった!
「おい滝野!!」
「はいぃ!!」
丸井の声が裏返ったってんなら
今の俺の声は、バック転。
もし荒井じゃなかったら、クラスのみんなはクスクス笑ってただろう。
「水原起こしてやれ」
「え……?あ、はい」
あれ?おかしいな……そういや守は
俺の前の席で寝てるっつか……伸びてるけど……
……荒井は授業始まってるのに、寝てるやつなんかがいたら
煥発いれずに怒鳴り散らす、ハズなんだけどな……
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