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「師匠(せんせい)………グスッ……師匠…死なないで下さい
ひとりぼっちにしないで
……う…ぁ……いやぁ……」
少女は血の海に沈んだ師匠の傷を押さえて泣きじゃくり蒼い瞳は涙で潤み頬には涙の筋が無数にあり滝のようにこぼれる。
「薺(なずな)………泣いては駄目ですよ?
貴女と椿には………三蔵の名と有天経文を…継承してもらいます……」
師匠と呼ばれた三蔵法師は薺と呼んだ少女の肩まである金糸の髪を撫でてニコッと微笑み涙を拭いてやる。 その隣で椿と呼ばれた瓜ふたつの少年は歯を食いしばりながら立ち尽くしていた。
「二人の法名は……桜華です……桜華三蔵と…名乗りなさい…………貴方達は二人で三蔵です………椿………薺をちゃんと守るのですよ…………」
そう言い残すと師匠の手は力が抜けたように少女の手を離れ血の中へ落ちた…………そう…死んだのだ………。
「馬鹿………言われなくても分かってるさ…………」
「師匠?………師匠!…目を開けてよ!!
嫌…………いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
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