達夫

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ジリリリリリ…! ジリリリリリ…! ジリリリリリ…! 激しい目覚まし音が狭い部屋に鳴り響く。 『なんだ…もう朝か…』 一人暮らしの男の部屋、 外は爽やかな夏晴れ。 目覚まし時計のスイッチを切り 寝ぼけ眼を擦りながら 男はベッドから起き上がった。 木村達夫 23歳。 この春に大学を卒業したばかりの フレッシュサラリーマンだ。 目を覚ました達夫は まずテレビをつけ グラスにアイスコーヒーを注ぐ。 そして 携帯電話を広げる。 …どれどれ、あのコからメールが来てるかなぁ…? 彼は 最近 怪盗ゲームで人気の とあるゲームサイトにハマっているのだ。 そのサイトにログインした達夫は 自分のプロフィール宛に届いたメールをチェックしていた。 『…ここで…ニュースをお伝え… 自宅で首を吊った… 発見され… 山村幸子… 事件の可能性があるとみて…』 テレビからは お馴染みの 朝のニュースが流れている。 …が、 達夫の耳には全く届いてない。 なぜなら そのサイトで知り合った女性… 彼のお目当ての女性からのメールが届いていたので 返信文の作成に集中していたからだ。 彼は うっすらと笑みを浮かべていた。
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