達夫

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…真っ黒な画面にうっすらと 白いモノが浮かび上がる。 それは段々大きくなり はっきりとした形に変化していく… 髪の長い女性が 首を吊っている映像… 黒いコードで天井から吊り下げられた女性は 両目が半分飛び出し ダランと手足を伸ばし 揺れている… 『ヒッ…ヒィ…ヒィィィッ…!』 恐怖の余り我を忘れ 悲鳴をあげる達夫。 画面の中で揺れる 首を吊った女性… 揺れる… 女性… その瞬間…! 女性の半分飛び出した目と 達夫の目が 合った…! その時…! ガタン!! 達夫の携帯は床に落ち 彼の体はスルスルと 天井に向かって吊し上げられる。 手足をバタつかせ もがき苦しむ達夫 そのうち彼の手足はダランと垂れ下がり ぶらん… ぶらん… と 揺れだした。 そう… 携帯の画面に映る女性と 全く同じ格好で… 部屋の天井に結ばれた黒いコードで 首を吊られ 手足をダランと伸ばし ぶらん… ぶらん…と まるで玩具のように。 すでに達夫は 死んでいた。 携帯に映る女性と 同じ格好で… 時計の針は 23:47を指していた。
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