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私は早めにマスターのところに行き、カウンターでコーヒーを飲んでいた
『なんだ、待ち合わせか?』
『そう…今から私叱られるのよ』と笑った
『不謹慎な奴だな。今から叱られるの楽しみにしてやがる』とマスターは笑いを堪えている
『だって…この前居酒屋でぶつかった人なんだもん』
『え?どこかで出くわしたのか?東京も狭いね』
『ホント…会社の中で偶然にね。彼がハッキリ私覚えてたみたい』
そのうち彼が彼女さんと現れた
二人がテーブルにつき、飲み物をオーダーすると、私はそそくさと二人の前に顔を出した
『先だっては彼氏さんにぶつかり、大変迷惑おかけしました。なにぶんかなり酔ってたもので、連れの者に自宅まで送ってもらい、少しづつ記憶が…本当に申し訳ありません』と私は彼女さんに頭を下げた
『竜也の言ってる事、嘘じゃなかったんだ…でもそれだけで私連絡とらなかったんじゃないのよ。あんたにはもうついていけないの!別れましょ』
そう言うと彼女さんは彼の部屋の合い鍵らしいものをテーブルにそっと置いた
『私のマンションの鍵は今日変えてもらったから合い鍵は捨てといてね』
彼女さんはニッコリわらって、立ち上がり店を出た
その数分の出来事に私も彼もなんというか…呆気にとられて言葉も出なかった
『彼女さん…行っちゃいましたね』
彼は呆然として目は泳いでいる
『明菜、コイツが安達竜也だよ。会うはずだよな、関連の仕事してんだから』とマスターは笑った
『丸山さん、この女知ってるんですか?』
『俺の元部下。今は可愛いガールフレンドだよ』
安達さん…この人が?
イメージとまったく違ってたので私もしばらく言葉が出なかった
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