第三章 遺剣と協会と

9/12
前へ
/192ページ
次へ
店を出てから数分もかからないうちに横に広い面積を持つ建物が見えてくる。   これはどこの支部に行っても変わらない。わかりやすいように造っているから……らしい。   討伐協会。ここは私も彼も好きな場所ではない。   入口の扉を開けると武骨な人間らが群衆となって数えられないくらいに溜まっている。   多くは懸賞金目当てで来ている連中だろう。私から見て右側にある巨大な掲示板には大量の魔生物の討伐依頼書が貼られている。   私達はそこを通り越し、受付に向かった。   「いらっしゃいませ。本日はどんなご利用で?」   「コイツを倒したんだけど、懸賞金扱いになってるか調べてくんない?」   彼が差し出した袋の中身は先日倒したとある魔生物の頭部の骨だ。原形は留めているので大丈夫だと思うが、価値は私も知らない。ただ上級魔生物だったから値は張るだろう。   「調査しますのでしばらくお待ち下さい」   「あいよ~」   私達は長椅子に並んで座り、しばしの間待機の時間となった。   「相変わらず掲示板は凄いことなってんね」   他人事のような口調で彼は呟いている。だが確かに彼の旅の目的は魔生物とあまり関係ない。   「あそこにあるのは中級魔生物までがほとんど。上級は目撃情報があまりないから」   上級魔生物は下級や中級と違って種族がない。その個体自体が一種類しかいない特殊な魔生物であり、中には人間と外見が同じ奴もいる。  
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加