第三章 遺剣と協会と

10/12
前へ
/192ページ
次へ
つまり、だ。上級魔生物が人間社会に潜伏しているのも考えられる。   私には魔生物独特の匂いを嗅ぐことができる。それは上級魔生物であればあるほど希薄でわかりにくい。   だが、たまに向こうから匂いを全面に押し出す奴らもいる。   「お?なんか騒がしいな……」   彼の言葉を聞き、私はいつもの考え事を止めて前を向いた。   大勢の人間が避けるようにして道を開け、何やらざわついている。   ここからだと若干見えにくいが、顔に変な被り物をしている物凄い長身の人間は確認できた。あれは彼よりも高い。2メートルはありそうだ。   受付の方にやって来るので自然と私達と距離が近くなる。そこで初めて気付いたが、実際はもう一人いた。   隣の人間とは対照的に背の低い白髪の少女。外見年齢は私より低そうだ。髪色だけじゃなく宝石のような赤い瞳も印象に残る。   「珍妙な被り物をしてんね。あいつらも討伐者か?」   「…………」   風があれば飛ばされそうなくらいに微量だが、私はそれを拾うことができた。   魔生物の匂いがする。漂う先はあの二人組。   「こっちに来るぞ」   受付で話をしていた二人組はどうしてか私達がいる所へと寄ってくる。  
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加